【新年大交流会:開催レポート】AI時代の2026年、広報はどうなる?

千葉県広報研究会は2026年1月23日(金)、産官学の会員が一堂に集う<新年大交流会2026>を開催しました。
当日はさまざまなジャンルの広報PR担当者約40人が参加し、2時間みっちり交流を深めるとともに、広報の未来について熱く語り合いました。
ここでは、当日の主要イベントの1つだったトークセッション「どうなる?2026年の広報PR・メディア業界」について、登壇者の発言のダイジェストをお届けします。

◆トークセッション「どうなる?2026年の広報PR・メディア業界」

AIが選ぶ時代に、それでも人が判断する情報とは―?
SNSや動画プラットフォームの普及により、私たちはかつてない情報量に囲まれている。YouTube、Instagram、TikTokなどに1日で投稿される動画をすべて視聴しようとすると、130年以上かかるとも言われている。
そんな情報過多の時代において、広報は「発信しても届かない」「伝えたい相手に選ばれない」という課題に直面している。
この問題意識を起点に、PR TIMES高田氏、千葉日報デジタル中島氏、グラヴィティPR西野氏(ファシリテーター)によるトークセッションが行われた。

<登壇者(敬称略)>
・中島悠平(株式会社千葉日報デジタル取締役/千葉県広報研究会プロデューサー)
・高田育昌(株式会社PR TIMES パートナービジネス開発室長)
・西野花梨(千葉県広報研究会コミュニティマネージャー/株式会社グラヴィティPR)

【ダイジェスト動画はこちら】https://youtu.be/cu-APZ90_qk


◆AIが情報を要約・選別する時代に、広報はどう変わるべきか(西野)

セッション冒頭、西野氏は、AIが情報を要約・選別し、人に代わって「何を知るか」を決める時代が本格化していると指摘した。情報量はすでに人の処理能力を超えており、これまでと同じように発信していても、情報は届きにくくなっている。
今後は人に見てもらえるかだけでなく、AIに選ばれるかどうかが情報流通の前提となる。西野氏は、「AIに拾われる工夫を設計しつつ、それでも人の関心や行動を動かす情報とは何か」という問いを提示し、広報の役割そのものを見直す必要性を投げかけた。
本セッションは、立場の異なる3者の視点から議論を行い、参加者が自社の広報活動を見直すヒントを持ち帰ることを目的として進められた。

◆AI時代に変わったこと・変わらないこと(高田|PR TIMES)

まず西野氏からの問いは、「AIや情報要約が進む中で、PRの現場で明らかに変わったと感じること」。
高田氏は、コンテンツ面の変化として「AIで作られたと分かる、整った文章が増えている」と率直に言及。一方で、それ自体を否定するものではなく、客観的な現象として捉える必要があると語った。
仕組みの面では、Google検索における「ゼロクリック化」が進み、検索結果から直接サイトへ遷移しないケースが増えている点を指摘。その一方で、AI検索における引用元として、PR TIMESが信頼できる一次情報のドメインとして評価されている事例を紹介した。
これは、AI時代においても「信頼できる一次情報」が価値を持ち続けることを示している。

◆よく読まれるリリースの共通点とは

続いて、西野氏から「実際によく読まれているリリースの共通点」について質問が投げかけられた。
高田氏は、内容以前の前提として「タイトルと画像」の重要性を強調。読むかどうかの判断は、まず視覚と一文で行われるとした。また、時流や季節感との一致、煽りすぎない表現、そして「お知らせ」で終わらせず、ニュースバリューを正確に伝えることが重要だと語った。


◆メディア側から見た情報収集の変化(中島|千葉日報デジタル)

次に話題は、メディア側の視点へ。
中島氏は、10年前と比べて情報の流入量が圧倒的に増えたことで、「どう取捨選択するか」が大きな課題になっていると指摘した。発信側にとっては情報が埋もれやすくなり、受け手側にとっては判断コストが高まっているという、双方にとっての難しさがあるという。
さらに、AIによる要約が普及することで、ニュースそのものの価値やトラフィックが得にくくなる側面にも触れ、これをAI時代の弊害の一つとして捉えた。

◆これから重視されるのは「フィジカル」と「物語」

では、こうした環境下で、メディアは何を基準に「取材したい」と判断するのか。
中島氏は、単に分かりやすい文章や整った情報ではなく、「本当に伝える価値があるか」「背景にどんなストーリーがあるか」が重要になると語った。
事業や取り組みの現場性、経営者や関わる人の思想・意思といった、人の温度を感じられる情報こそが、今後より重視されていくという。

◆AI時代だからこそ価値が高まる「口コミ」と「第三者の声」

議論はさらに、口コミや周辺の反応といった「第三者の声」にも及んだ。
西野氏は、AIが情報を選別する際にも信頼性が重要になる中で、口コミや評判の価値がむしろ高まっているのではないかと問いかけた。
これに対し、高田氏は、口コミは炎上などネガティブな文脈で語られがちだが、本来は広報の原点であると指摘。第三者が「良かった」と語る一対一の感想は、非常に濃度の高い情報であり、情報が溢れる時代だからこそ、その価値は失われないと語った。


◆PR TIMESは「入口」であり、ゴールではない(高田)

セッション後半では、「PR TIMESで発信するだけで十分なのか」という問いが投げかけられた。
高田氏は、PR TIMESはあくまでツールであり、「ワンドオブゼム(選択肢の一つ)」だと明言。発信の民主化という役割は果たしているが、それだけでPRが完結するわけではないとした。
PRとは本来、社会との対話のプロセスであり、発信→反応→修正→再発信というキャッチボールを繰り返しながら、自分たちと社会の関係性を磨いていく営みである。そのプロセスの中で、PR TIMESを含むさまざまな手段を組み合わせていくことが重要だと語った。

◆これからの広報に求められる姿

セッション全体を通して浮かび上がったのは、AIに選ばれるための「構造化された一次情報」と、人が動くための「物語性・現場性・共感」を両立させる必要性だった。
情報を出すだけの広報から、関係性を育てる広報へ。
AI時代だからこそ、人の意思や背景を丁寧に伝える広報の価値が、改めて問われている。
最後に西野氏は、千葉県広報研究会は、こうした課題に向き合い、実践を共有する場として立ち上がっていると紹介。参加者に向けて、今後も共に学び、考え、試行錯誤していく場として活用してほしいと締めくくった。

【ダイジェスト動画はこちら】https://youtu.be/cu-APZ90_qk

2026.02.02