プレスリリース活用でメディア取材を獲得するコツとは? 【3/4トークセッションダイジェスト】

千葉県広報研究会は2025年3月4日(火)、ゲストスピーカーを招いた「広報トークセッション」をスタートしました。
第1回のゲストスピーカーは、ペット関連事業を手掛ける「いぬねこ共生ラボラトリー」代表の小坂邊信さん。プレスリリースを活用し、メディア取材を獲得することで事業の情報発信を効果的に行っています。
トークセッションでは、千葉県広報研究会事務局の中島が進行役を務め、実際の発信内容や成果、効果的な発信のコツなどを伺いました。お話しいただいた内容の一部をダイジェストとして掲載します。

進行役:千葉県広報研究会事務局・中島
今日は、自治体や企業の方々に集まっていただいて、千葉県広報研究会として初めての試みとなるトークセッションを開催します。今回のゲストはペットフード研究家であり、いぬねこ共生ラボラトリーの代表を務める小坂邊さんです。

ゲストスピーカー:小坂邊さん(いぬねこ共生ラボラトリー代表)
私は「ペットフード研究家」という肩書で活動していて、ペットフードに関する情報サイト「ペットフードラボ」を運営しながら、企業向けのペット用品開発サポートやマーケティングを行っています。また、トリミングサロンの運営などもしています。
今回お話しするのは、千葉県の害獣問題をペットフード業界で解決しようという新しい試み、「総(SOU)プロジェクト」についてです。千葉では「キョン」という外来種のシカが繁殖してしまい、農作物への被害が深刻になっています。でも、駆除されてもほとんど活用されていない。そこで、「このキョンをペットフードにできないか?」と考えたんです。

中島
なるほど、千葉の地域課題をビジネスの視点で解決しようというわけですね。それで、このプロジェクトはどのように進められたのでしょうか?

小坂邊さん
はい、私だけではできないので、千葉県内で活動している「猟師」「ペットフード研究家」「革職人」の3人がタッグを組みました。猟師さんはキョンの捕獲を、私はペットフードの開発を、革職人さんはキョンの皮を使った首輪の製作を担当しています。地域の問題を、地域の専門家が協力して解決するという形です。
実は、もともとキョンの肉をペットフードにする取り組みは小規模には行われていたんです。でも、しっかりとしたブランディングや販売ルートが確立されていなかった。そこで、私は「どうせならちゃんとしたビジネスにして、地域の課題解決にも貢献しよう!」と考えたんです。


中島
面白いですね!そして、この取り組みを世の中に広めるためにプレスリリースを活用したんですね?

小坂邊さん
そうなんです。実は、それまではインスタグラムなどSNSを中心に情報発信をしていましたが、より多くの人に知ってもらうにはメディアに取り上げてもらうのが効果的だと考えました。そこで、11月22日(ワンワンニャンニャンの日)に合わせてこちらのプレスリリースを出しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000152113.html

中島
配信した結果、どのような影響がありましたか?

小坂邊さん
日経新聞、千葉日報、朝日新聞などのメディアに取材を受け、新聞やニュースサイトで取り上げていただきました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC21CNP0R21C24A1000000/
https://www.chibanippo.co.jp/news/local/1320358
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20250108002997.html

中島
すごいですね!たった1回のプレスリリースでそんなに広まるものなんですか?

小坂邊さん
そうですね。これには「メディアフック」という考え方が大きく関わっています。メディアが記事にしやすい要素、たとえば「地域性」「新規性」「社会課題の解決」などを意識して情報を整理しました。それから、千葉の問題を千葉の人たちが解決するというストーリー性を強調したことで、取材を受けやすくなりました。
こうした「メディアフック」の考え方は、私が所属している市原商工会議所の専門家相談を活用して、配信前に専門家に相談することで取り入れることができました。実はその専門家が、今日進行役を務めている中島さんなんですよね(笑)。

中島
手前味噌な話で恐縮です(笑)。ですが、小坂邊さんからご相談をいただいた段階で、プロジェクト自体に強力な「メディアフック」があったため、「これは確実に取材が来るな」と直感したのも事実です。
私のアドバイスでは、すでにプロジェクトが持っている「メディアフック」の要素を、より強調して発信できるようなサポートをさせていただきました。


中島
ところで、取材は複数獲得できましたが、メディアに載ったことで売上は増えましたか?

小坂邊さん
正直なところ、直接の売上にはそれほど大きな影響はなかったですね。でも、目的は単なる販売促進ではなく、ブランドの認知度を上げることでした。プレスリリースを通じて、「この人はこういうことをしている」「この会社は信頼できる」というブランディングができたことが一番の収穫です。

中島
確かに、メディアに取り上げられると信頼度がぐっと上がりますよね。商品やサービスの販売促進としてプレスリリースを配信するのか、今回の小坂邊さんのように会社や事業のブランドアップとしてプレスリリースを配信するのか、事前に目的を明確にして取り組むのも重要ですね。
他にプレスリリースを作る上で何か工夫されたことはありますか?

小坂邊さん
まず、他の小規模な取り組みとの差別化を明確にするために、単なるジャーキーではなく、「日本初のキョン肉を使ったドライドッグフード」を作ることにしました。これにより、新規性や希少性が強調され、より取材されやすくなると考えたんです。
また、記者さんが記事を書きやすいように、統計データや市場分析も盛り込みました。例えば、千葉県内でのキョンの被害状況のデータなどですね。こういった情報を入れることで、ニュースとしての価値が上がります。

中島
ただ話題を提供するのではなく、メディア側が記事にしやすい形で発信していくことも重要ですね。
最後に、今後プレスリリースを活用しようと考えている人たちにアドバイスはありますか?

小坂邊さん
まず、ただ商品を発表するだけではなく、その商品や取り組みが持つストーリーをしっかり伝えることが大切です。そして、記者が興味を持つような視点で情報を整理すること。私も最初は手探りでしたが、市原商工会議所を通して中島さんのような情報発信の専門家に相談しながら進めたことで、良い結果につながったと思います。

中島
ご自身だけでプレスリリースを作成・配信するのが不安な方は、小坂邊さんのように信頼できる専門家に相談するのも、情報発信の効果を高めることにつながりそうですね。
小坂邊さん、本日はありがとうございました。

2025.03.06