
企業広報を成功させる超実践的ノウハウとは? 【4/15トークセッションダイジェスト】
千葉県広報研究会は2025年4月15日(火)、ゲストスピーカーを招いた「広報トークセッション」を開催しました。
第3回のゲストスピーカーは、デンタルサポート株式会社で広報室長/マーケティング室長を務める中山ちはるさん。約20年にわたり、メディア取材対応やオウンドメディアの運営などさまざまな広報業務に従事してきました。
トークセッションでは、千葉県広報研究会事務局が進行役を務め、企業広報として取り組むべき実践的なノウハウを伺いました。お話しいただいた内容の一部をダイジェストとして掲載します。
進行役
千葉県広報研究会のトークセッション第3回は「企業広報」がテーマです。まずは会社の概要からお願いします。
中山さん
私が所属するデンタルサポート株式会社は、歯科・医科・介護サービスを全国展開するDSヘルスケアグループの一員です。訪問歯科診療を中心にさまざまなサービスを展開しており、グループは全国に134拠点、従業員数約1,500人、売上は約118億円です。
進行役
中山さんの広報としてのご経歴を教えてください。
中山さん
最初は秘書として入社しましたが、広報に転身しました。今でこそ規模が大きくなりましたが、当時はスタートアップ企業だったため、広報も私1人。ほぼ独学で学びながら広報を実践してきました。
進行役
ここからは中山さんの「広報の現場での考え方」や「具体的な取り組み」について、伺っていきたいと思います。
中山さん
企業によって広報の位置づけや担当範囲ってバラバラだと思いますが、まずはステークホルダーを明確にして、それぞれにどのようなアプローチをしていくかの方針決定が大切だと思っています。
進行役
ステークホルダーというと?
中山さん
はい、当社の場合は主に4つです。従業員、求職者、顧客、業界関係者、それにプラスして地域社会。この4軸+1に対して、それぞれどんな目的をもって、どんなアプローチをするかという広報戦略を立てています。
進行役
なるほど、「誰に伝えるか」と「どう伝えるか」を決めるわけですね。
中山さん
広報の「目的」と「ゴール」をきちんと定めておくことで、自分が広報担当として、今、何に取り組まなければならないかが明確になります。それを経営陣と共有したうえで、目的を達成するために自分がやりたいことを言葉にして、実務を進めていくことが重要だと考えています。
進行役
会社がどこに向けて広報をしていくか、きちんと決めておくことが重要なわけですね。
では、こうした目的やゴールを決めた上で、具体的にどんな取り組みを行っていますか?
中山さん
私は社外向けの「アウター広報」と、社内向けの「インナー広報」に分けて取り組みを進めています。
まずアウター広報では「社会にどう見られたいか」を軸にして、信頼性や専門性を伝える施策を展開しています。
例えば、オウンドメディアの立ち上げ(例:口腔ケア情報サイト)、歯科関連の解説動画の配信、専門誌への寄稿など、さまざまな媒体を通して有益な情報の提供を行っています。
また、企業発の仕掛けを作るためPR TIMESなどの配信プラットフォームを活用したプレスリリース配信や、アンケート調査の実施なども展開しています。
進行役
広報のお手本のような多岐にわたる取り組みをされていますね。
次に、インナー広報はどんな取り組みをしていますか?
中山さん
インナー広報は「社員が自社のファンになる」ことを目指しています。
そのために、社内報アプリを使ったコミュニケーション、プレスリリース配信後の担当部署への共有、社員が一堂に集まる全体研修会などを実践しています。
その一環で、企業のSNS公式アカウントの運用ルールを決めたマニュアルや、公式SNS管理者向けのウェブテストも自作しました。今日は皆さんにも簡略版のテストを公開しますので、ぜひ試してみてください。
進行役
ありがとうございます。
ここまで伺ってきて、会社としての広報の目的とゴールをきちんと定めた上で、幅広く広報施策に取り組んでこられたことが分かりました。
その上で、「広報としての心構え」を教えていただけますか?
中山さん
まずは「経営者の視点と視野を持つ」ことです。
経営者の方って、たくさんの想いを持っているんです。でも、その想いを誰にでも伝わる言葉にするのは、実はとても難しい。
だからこそ広報は、経営者の考えていることをきちんと整理して、社内にも社外にも伝わる形に変換して伝えることが大事だと思っています。
そのためには経営者の思考や事業計画を理解することも必要だと考えます。
もうひとつは「情報収集」です。
自分の会社の事業に関することはもちろん、社内においても、各部署がどんな事業に取り組んでいるかを把握し、社内になるべく協力者を作る。さらに時事問題やトレンドも押さえておく。
進行役
なるほど。ちなみにこれを一言でまとめるフレーズがあるんですよね。
中山さん
はい(笑)。「自分が企業のトップヲタになる」ということが重要だと思います。
自分が好きなものじゃなければ人に勧められないですし、好きでもないものを人に勧めても相手も好きになってくれないですからね。その熱量が広報には一番大事だと個人的には思います。
進行役
ありがとうございます。
広報の取り組み方や求められている内容は、会場の皆さん個社でまちまちだとは思います。ですが、今回中山さんにお話いただいたことは、広報担当者としてとても重要なポイントだなと思います。
皆さんもぜひ、自分の会社の「トップヲタ」として広報の充実を進めていただければと思います。